ここでは、果物の漢字が入っている日本人の名字の読み方や由来、全国での分布をまとめます。なお、名字の由来に関しては、由来が複数あるものや、はっきりと分かっていないものもあります。また全国での名字の分布も、人の移動や出生、死亡によって容易に変化し、正確な数字の把握が困難なため、ここでは「多い」、「少ない」などの表現でまとめます。
果物の漢字が入っている名字「杏」
・杏(からもも)
長野県松本市梓川梓杏(ながのけんまつもとしあずさがわあずさからもも)発祥の名字です。長野県に多く存在しています。他、東京都、大阪府、京都府、神奈川県などにも少数存在しています。
・杏川(すがわ)
兵庫県丹波市発祥の名字です。杏と川があった地形であったと考えられます。かつては「アンズガワ」という発音だったと推定されています。兵庫県丹波市にごく少数存在しています。
・杏井(きょうい)
大阪府、兵庫県、奈良県辺りの発祥と推定されます。杏と水を汲む場所があった地形であったと考えられます。大阪府、兵庫県、奈良県に少数存在しています。
果物の漢字が入っている名字「苺」
・苺谷(いちごたに)
大阪府柏原市雁多尾畑(おおさかふかしわらしかりんどおばた)発祥と考えられます。大阪府に多く存在しています。他、愛知県と奈良県にごく少数存在しています。
果物の漢字が入っている名字「柿」
・柿(かき)
石川県、鹿児島県、大阪府に多くある名字で、植物の柿が由来と考えられます。また、鹿児島県南さつま市金峰町大野(かごしまけんみなみさつましきんぽうちょうおおの)の江戸時代の門割制度であった「柿門」の由来とも考えられています。他、静岡県、兵庫県、三重県などに分布しています。
・青柿(あおがき)
埼玉県、大阪府、東京都、岐阜県、奈良県、千葉県に多く存在しています。「大垣」の異形で、埼玉県春日部市薄谷(さいたまけんかすかべしすすきや)が本拠の名字と言われています。この春日部市薄谷では江戸時代には「青垣」とも表記していたと伝えられています。他にも、岐阜県飛騨市神岡町吉田(ぎふけんひだしかみおかちょうよしだ)や奈良県吉野郡川上村武木(ならけんよしのぐんかわかみむらたきぎ)が発祥とも推定されています。
他、神奈川県、兵庫県、茨城県、群馬県に少数存在しています。
・大柿(おおがき)
栃木県栃木市都賀町大柿(とちぎけんとちぎしつがまちおおがき)、熊本県人吉市中神町大柿(くまもとけんひとよししなかがみまちおおかき)、福島県双葉郡浪江町川房大柿(ふくしまけんふたばぐんなみえまちかわぶさおおがき)などの地名が由来の名字と推定されます。また「大垣」の異形の名字とも考えられています。栃木県、熊本県、兵庫県、東京都、福島県、神奈川県、大阪府、愛知県、埼玉県、徳島県などに多く存在する名字です。
・柿崎(かきざき)
新潟県上越市柿崎区柿崎(にいがたけんじょうえつしかきざきくかきざき)や静岡県下田市柿崎(しずおかけんしもだしかきさき)が発祥の名字です。前者は鎌倉時代から、後者は戦国時代から記録のある地名です。山形県、秋田県、北海道、青森県、東京都、神奈川県、埼玉県では各県1000~3000人程度の人がこの名字を名乗っており、千葉県、茨城県、宮城県でも各県、数百人規模でこの名字の人が存在しています。
・柿井田(かきいだ)
柿と水汲み場、そして田んぼがあった地形が由来となった名字であると推定されます。東京都と神奈川県にごく少数存在しています。
果物の漢字が入っている名字「栗」
・栗田(くりた)
長野県長野市栗田(ながのけんながのしくりた)発祥の名字です。この地名は鎌倉時代から記録にあります。全国的に広く分布した名字で、静岡県で最も多く約7900人の人がこの名字を名乗っています。
・池栗須(いけくり)
鹿児島県鹿屋市吾平町麓(かごしまけんかのやしあいらちょうふもと)発祥の名字です。この地には江戸時代に門割制度の池栗須屋敷がありました。鹿児島県にごく少数存在しています。
・小栗(おぐり)
茨城県筑西市小栗(いばらきけんちくせいしおぐり)発祥の名字です。この地名は鎌倉時代から記録にあります。岐阜県、愛知県、静岡県、東京都には数千人規模でこの名字の人が存在しています。神奈川県、北海道、大阪府、千葉県、埼玉県、栃木県などにも数百人規模でこの名字の人が存在しています。
果物の漢字が入っている名字「梅」
・梅(うめ)
植物の梅が由来の名字と考えられます。石川県、東京都、宮城県、佐賀県などに多く存在しています。
・梅市(うめいち)
奈良県にごくわずか存在しています。愛媛県伊予郡砥部町(えひめけんいよぐんとべちょう)が発祥で、江戸時代頃にこの地で梅の市が開かれていたと伝えられています。また、この地から、梅市の名字の人が香川県高松市や大阪府大東市に移住したという伝えもあります。
・梅内(うめない)
青森県三戸郡三戸町梅内(あおもりけんさんのへぐんさんのへまちうめない)発祥の名字です。この土地は戦国時代には「うめない」ではなく「むへない」と言われていました。青森県、北海道、岩手県、兵庫県に多く存在します。
果物の漢字が入っている名字「梨」
・青梨(あおなし)
岡山県高梁市宇治町穴田(おかやまけんたかはししうじちょうあなだ)が本拠の、青梨が由来とされる名字です。岡山県に多く存在し、鳥取県や大阪府にも少数存在しています。
・赤梨(あかなし)
赤い梨が由来とされる名字です。山口県長門市三隅上滝坂(やまぐちけんながとしみすみかみたきさか)が起源地です。山口県に少数存在しています。
果物の漢字が入っている名字「桃」
・桃(もも)
植物の桃や地名が由来になった名字、そして「桃井」という名字が略された名字と推定されています。東京都、大阪府、鹿児島県、長野県、茨城県、沖縄県、岐阜県などに少数存在しています。
・桃井(ももい/もものい)
群馬県北群馬郡榛東村(ぐんまけんきたぐんまぐんしんとうむら)近辺のかつて桃井(もものい)郷と言われていた土地が発祥の全国に広く分布した名字です。特に、北海道、神奈川県、東京都などに多く存在しています。
果物の漢字が入っている名字「林檎」
・林檎(りんご)
岩手県九戸郡洋野町(いわてけんくのへぐんひろのちょう)で生まれた名字で、「林郷」という名字の異形のものです。岩手県と神奈川県に少数存在しています。
果物の漢字が入っている名字「蜜柑」
・蜜柑(みかん)
植物の蜜柑が由来の名字です。鹿児島県にごく少数存在しています。
果物の漢字が入っている名字「枇杷」
・枇杷(びわ)
植物の枇杷や、地名が由来となった名字と推定されます。鹿児島県、宮崎県、大阪府、福岡県、岩手県に多く存在します。