身近な果物「みかん」の定義や種類、品種などについて解説

みかん(蜜柑)とは、改めて説明するまでもなく皆さんに馴染み深い果物として知られています。しかし、正確にみかんの定義をご存じの方は少ないかもしれません。「みかん」と言えば一般的には「温州みかん」のことを指すのですが、広義では、温州みかんを含む、皮をむきやすい小型の柑橘(かんきつ)のこと全般をいいます。ここでは、みかんの定義や種類、分類などについて解説します。

みかん(蜜柑)の定義

みかん(蜜柑)という名は、その名が示すとおり、蜜のように甘い柑橘(かんきつ)であることからつけられました。分類学上は、柑橘科(ミカン科)のミカン属(カンキツ属)、ミカン類に属する柑橘(かんきつ)の総称です。柑橘の中でも食べやすく、最もポピュラーであると言えるでしょう。

ミカン類の柑橘

では、ミカン類に属する柑橘について一つずつ解説していきましょう。ちなみにこのミカン類の中に私たちに最もなじみ深い「温州みかん」も含まれます。

温州ミカン

私たちが一般に「みかん」と呼んでいるのが「温州(うんしゅう)みかん」です。原産は、鹿児島県で、主な産地は、和歌山県、愛媛県、熊本県などです。ミカン類の中でも甘く食べやすいのが特徴で、ビタミンCなどの健康効果の高い栄養素も豊富に含んでいます。温州みかんは、9月から10月頃に出荷される「極早生(ごくわせ)温州」、10月下旬から12月頃に出荷される「早生(わせ)温州」、11月下旬から12月下旬頃に出荷される「中生(なかて)、普通温州」、12月下旬から3月頃に出荷される「晩生(おくて)温州」の種類があり、基本的に出荷時期が後になるにつれて、甘味が増していきます。

カーブチー

カーブチーは沖縄県原産のみかん類の柑橘です。カーブチーとは、沖縄の方言で「皮がぶあつい」という意味で、実際、カーブチーは果皮がゴツゴツしていて厚く、むきやすいのが特徴です。果皮の色は緑色で、大きさは温州みかんと同じくらい、実の色は薄いオレンジ色で、実には種があります。柑橘らしい爽やかな香りで、味は素朴で甘酸っぱく、そのまま食べたり、料理に使用したり、またはジュースに加工したりします。秋の運動会の季節に収穫期を迎えるため、「運動会ミカン」とも呼ばれています。

カラマンダリン

カラマンダリンは、カリフォルニア大学のフロスト博士が、温州みかんとキングマンダリンという品種をかけあわせて生まれた、みかん類の柑橘です。日本へは、昭和30年に導入されました。色も大きさも温州みかんに似ています。酸味は少なく、甘味が濃厚でジューシーなのが特徴です。実を包んでいる皮もシャキシャキで、そのまま食べることもできます。最も樹に生(な)っている期間の長い柑橘で、出荷時期は、温州みかんに比べて早く、4月下旬から5月下旬となっているため、春のみかんと呼ばれています。

紀州ミカン

紀州ミカンは、1574年に紀州有田に伝わり、一大産業となったみかん類の柑橘です。江戸時代に生産の最盛期を迎え、明治時代の中頃までは日本を代表するみかんでしたが、その後は、温州みかんがポピュラーとなっていきました。温州みかんに比べサイズが小さいため、小みかんとも呼ばれています。酸味は少なめで甘味が強いのが特徴で、温州みかんと違い房には種があります。

クネンボ(九年母)

クネンボ(九年母)は、沖縄を経由して鹿児島に伝わったみかん類の柑橘です。大きさや色は温州みかんに似ており、果皮は厚く、ジューシーで酸味、甘味ともに強いのが特徴です。また、種も多く、果実ひとつに10粒程度入っています。沖縄では「クニブ」、鹿児島で「クネブ」と呼ばれ、転じて「クネンボ」となったようです。江戸時代に紀州みかんが台頭するまでは、ポピュラーな品種でした。最近の研究によると、このクネンボと紀州みかんが、現在最も主流なみかんである温州みかんの親品種であると推定されています。

コウジ(柑子)

コウジ(柑子)は古くから日本で栽培されているみかん類の柑橘です。色は黄色~橙色で、温州みかんに似ていますが、果皮が薄くそのため「薄皮みかん」とも呼ばれています。温州みかんと比較すると、酸味が強く甘味は少ないのが特徴です。寒さに強い樹勢のため、山陰地方や北陸地方など日本海側で栽培されています。俳人である正岡子規の句に「仏壇の 柑子を落す 鼠かな」があります。(柑子の季語は晩秋)

タチバナ(橘)

タチバナ(橘)は、日本で唯一の野生のみかん類の柑橘で、海岸沿いの山地や樹林に自生しています。果実は温州みかんよりも小さく、酸味がとても強いため、食用にはなりません。古くから橘の実や葉、花をモチーフにした紋様が家紋に使われることも多く、文化勲章の勲章の意匠(デザイン)にも用いられています。勲章の意匠に橘が用いられたのには、昭和天皇の意向があったとされ、その理由として、『橘は古来我が国では尊重され愛好せられ、桓武天皇が平安京に遷都遊ばされてからは紫宸殿の南庭に用いられて右近橘(うこんたちばな)と稱(しょう)せられ、左近櫻と共に併稱せられて今日に及び、万葉集にも数多く詠ぜられているところである。(中略)その悠久性永遠性は文化の永久性を表現するのに最も適するものとの聖慮と拝察される。』とあります。

ひめルビー

ひめルビーは、濃い橙色の果皮と果肉が特徴的な、みかん類の柑橘です。品種登録がされたのは、2008年と新しく、ブラッドオレンジの「モロ」に「太田ポンカン」を接ぎ木して生まれました。ブラッドオレンジ同様、アントシアニンが豊富に含まれており、眼精疲労回復効果や強い抗酸化作用、美肌効果、循環改善作用、抗炎症作用など、多くの健康効果が期待できます。酸味と甘みのバランスがとれた食べやすい味で、収穫時期は、1月下旬から2月中旬にかけてとなっています。

ポンカン

ポンカンは、明治時代に日本へ導入された、みかん類の柑橘です。大きさは温州みかんと同等ですが、温州みかんと比べ、果肉はジューシーでコクのある強い甘味と南国風の芳香が特徴です。果皮は柔らかいためむきやすく、薄皮ごと食べることができますが、種があります。主な産地は、愛媛県、鹿児島県、高知県です。

マンダリンオレンジ

マンダリンオレンジは、温州みかんにとてもよく似た、みかん類の柑橘です。果皮も果肉も温州みかんに似ていますが、味はとても甘く、ジューシーなところがオレンジに近く、温州みかんとオレンジの良いところを併せ持った柑橘と言えるかもしれません。温州みかんと同様に、ビタミンC、クエン酸、カリウム、ペクチンなどの栄養素が豊富に含まれており、健康効果の高い柑橘です。