果物の旬を学び、おいしく食べて健康生活

旬の果物は安価で美味しく、尚且つ私たちの健康をサポートしてくれます。しかし、日本人の果物の摂取量は世界と比較し、少ないと言えます。果物、特に国産果物に焦点を当て、その良さと共に摂取の妨げとなる要因をまとめます。また、果物が私たちの体にもたらす効果や摂取量の目安、そしておすすめの食べ方を紹介します。

『旬』のメリット

「旬の食材は美味しい」「旬の食材は栄養価が高い」という言葉を、今までに1度や2度は聞いたことがあるかもしれません。実は野菜や果物には生育に最も適した時期があります。ハウス栽培や水耕栽培などの技術が進歩した現代では、一年中スーパーで購入できる物も少なくないため、野菜や果物の旬を意識しにくいのです。

旬の果物は大変優秀です。過度なストレスなく育つため栄養をたっぷり蓄え糖度が高く、余計な手を加えずとも自然の力で良く育つため、肥料や農薬の使用を最小限に抑えることができ安全性が高いと言えます。また、収穫量が多いため市場に多く出回り、私たちはそれらの果物を安価に購入することができます。

日本が世界に誇る国産果物

ところで皆さんは下に記した果物の品種をいくつ知っていますか。

りんご:ふじ、つがる、王林、シナノゴールド、シナノスイート

もも:白鳳、あかつき

ぶどう:シャインマスカット、巨峰、ピオーネ、ベリーA

なし:幸水、豊水、南水、新高、あきづき

かき:太秋、早秋

柑橘類:清見、デコポン、はるみ、せとか

おうとう(さくらんぼ):佐藤錦、紅秀峰、紅さやか、香夏錦

実は、これら全て日本国内で品種改良された物です。

例えばりんごの品種改良は、通常、めしべにほかの品種の花粉を付着させる『交雑育種』という方法を用います。外観、食味、収穫時期などの目標を設定したのち、父親・母親を決めて授粉させ、その実から種を採ります。種を植え、実を成らせ、できた実を吟味して、選別します。新しい品種ができるまでに20年以上を要する場合もあります。また20年以上かけたとしても、必ずしも目標としていた新品種が生まれるとは限りません。こうして長い年月をかけて生み出された質の良い日本の果物は、日本人が世界に誇れるものの1つではないでしょうか。世界中で愛されている日本の果物をぜひ味わってみてください。

日本人の果物離れ

美味しい果物が盛んに作られている日本ですが、実は他国と比較すると果物の摂取量が少ないのです。日本人の果物摂取量は、国連食糧農業機関(FAO)の統計データベース:FAOSTSTによると世界174ヶ国中 129 位(2011年)と低水準です。

1人当たりの果実摂取量は、農林水産省:樹をめぐる情勢(2019年6月)によると105g/日(2017年)に留まっています。

日本人の果物離れにはいくつか理由があると思いますが、『果物は糖質が多いため食べると太り、病気になってしまう』という誤った知識もその1つではないでしょうか。しかし、これは正確ではありません。

果物の甘さは炭水化物に分類される果糖やブドウ糖によるものです。確かに、炭水化物の過剰摂取は肥満の原因となります。そのメカニズムは以下の通りです。

摂取された炭水化物は消化され糖質になりエネルギーとして利用されますが、必要量より多い分はグリコーゲンとして肝臓や筋肉に貯蔵され、さらに過剰な分は脂肪として脂肪組織に蓄えられます。

しかし、果物は大部分が水分であり、100g当たりのエネルギーは50kcal程度です。ご飯(100g当たり約170kcal)やショートケーキ(100g当たり約300kcal)と比較すると低カロリーの食品であることが分かります。

果物の摂取量の目安

では、果物を実際にどのくらい摂取すればよいのでしょうか。ずばり、1日に200gの果物を食べましょう。2005年6月、厚生労働省と農林水産省によって策定された「食事バランスガイド」ではこの量が推奨されています。

また、生産や流通、消費の関係団体、農学、医学、食生活指導、料理等の専門家から構成された『毎日くだもの200グラム推進全国協議会』では、くだものを毎日の食生活に欠かせない品目として定着させるため、「毎日くだもの200グラム運動」を行なっています。

少し分かりにくいので、200gを具体的に果物の個数で表すと以下のようになります。尚、果物の種類や産地、収穫時期等によっても大きさは変わってきますので、あくまでも目安と考えてください。

みかん2個、バレンシアオレンジ2個、りんご1個、日本なし1個、かき2個、ぶどう1房(巨峰等の大粒系は1/2房)、もも2個、キウイフルーツ2個、グレープフルーツ1個、さくらんぼ40粒、すもも3個、西洋なし1個、パインアップル0.3個、びわ6個などです。

果物が私たちの体にもたらす健康効果

果物はビタミン類やカリウム、食物繊維、有機酸、ポリフェノールなどを多く含みます。果物の摂取は肥満や糖尿病、高血圧、がん、脳卒中、虚血性心疾患、骨粗鬆症便秘などの予防に効果的です。例えば日本糖尿病学会は、『糖尿病食事療法のための食品交換表』において糖尿病患者に生鮮くだものを1日1単位(80kcal)摂るように提案しています。

ただし、腎臓に関わる疾患のある人はカリウムの摂取制限がある場合もあるので、カリウムを多く含む果物を摂取する場合には注意が必要です。

おすすめの果物の食べ方

野菜と比較し、1年中店頭に並んでいる果物は少なく、この時期でなければ食べられないというものが殆どです。旬のものは栄養価が高いですし、味も良いので、せっかくですから旬の果物を味わってみてください。

調理法に関しては、生で食べられるものは火を通さずそのまま生で食べることをおすすめします。なぜかというと、加熱調理をするとビタミンCなどの熱に弱い栄養素が壊れてしまうからです。また煮たりする場合には、水溶性食物繊維やカリウムなどの水溶性成分が煮汁に溶け出し、果物自体の栄養価は下がってしまいます。

気をつけていただきたいことが、市販されているフルーツ缶やフルーツジュースを生の果物と同じように摂取してしまうことです。フルーツ缶は加熱によって熱に弱い栄養素が壊れてしまいますし、果物を甘いシロップに漬けていますのでカロリーが高いです。フルーツジュースも同様、加熱によって栄養素が壊れ、不溶性食物繊維が絞りカスと一緒に取り除かれてしまいます。これらの食品を習慣的に摂取することは避けた方が良いでしょう。